監督・脚本:ショーン・ダーキン

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人生をかけて闘え

Fri.

TOHOシネマズ 日比谷全国ロードショー

プロレス界の伝説フォン・エリック家の知られざる衝撃の事実。“呪われた一家”と呼ばれたその真実とは

ザック・エフロン

ジェレミー・アレン・ホワイト

ハリス・ディキンソン

モーラ・ティアニー

スタンリー・シモンズ

withホルト・マッキャラニー

andリリー・ジェームズ

2023年|アメリカ|英語|132分|カラー・モノクロ|ビスタ|原題:THE IRON CLAW |字幕翻訳:稲田嵯裕里映倫G
© 2023 House Claw Rights LLC; Claw Film LLC; British Broadcasting Corporation. All Rights Reserved.
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ

A24/ACCESS ENTERTAINMENT/BBC FILM/HOUSE PRODUCTIONS
Filmarks初日満足度ランキング第1位
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『アイアンクロー』キービジュアル

INTRODUCTION

巨大な手で敵レスラーの顔をわしづかみする必殺技“アイアンクロー=鉄の爪”を生み出し、1960~70年代に日本でもジャイアント馬場やアントニオ猪木らと激闘を繰り広げ、一世を風靡したレスラー、フリッツ・フォン・エリック。さらにフリッツは息子たち全員をレスラーに育て上げ、苛烈な競争が繰り広げられる世界で“史上最強の一家”となる野望を燃やす。厳格な父を敬愛する息子たちはレスラーとしての才能を開花させ、次男ケビン、三男デビッド、四男ケリーが大活躍した1980年代に絶頂期を迎えるが、最強への道に不幸な運命が立ちはだかる。フォン・エリック家の子供たちに、いったい何があったのか――

本作は若き日のケビンを中心に、濃密な家族の絆とリング上でのファイトが生み出す興奮、そして最強を目指すことの過酷なプレッシャーを赤裸々に映し出す。監督はカルト教団による洗脳とトラウマを描いたデビュー作『マーサー、あるいはマーシー・メイ』で絶賛を浴びたショーン・ダーキン。子供の頃からプロレスに夢中で、フォン・エリック家の悲劇に衝撃を受けた一人だったという。ダーキンは長年取り憑かれていた驚きの実話を、家族の愛情と葛藤のドラマとして再構築。プロレスにまつわる栄光と挫折を掘り下げ、植え付けられた価値観からの解放という今日的なテーマに踏み込んだ、胸の奥深くに刺さる人間ドラマに仕上がっている。

STORY

1980年初頭、プロレス界に歴史を刻んだ“鉄の爪”フォン・エリック家。父フリッツ(ホルト・マッキャラニー)は元AWA世界ヘビー級王者。そんな父親に育てられた息子の次男ケビン(ザック・エフロン)、三男デビッド(ハリス・ディキンソン)、四男ケリー(ジェレミー・アレン・ホワイト)、五男マイク(スタンリー・シモンズ)ら兄弟は、父の教えに従いレスラーとしてデビュー、“プロレス界の頂点”を目指す。しかし、デビッドが日本でのプロレスツアー中に急死する。さらにフォン・エリック家はここから悲劇に見舞われる。すでに幼い頃に長男ジャックJr.を亡くしており、いつしか「呪われた一家」と呼ばれるようになったその真実と、ケビンの数奇な運命とは――

STAFF

ショーン・ダーキン監督 写真

ショーン・ダーキン

監督・脚本

1981年12月9日生まれ、カナダ出身。2011年『マーサ、あるいはマーシー・メイ』で長編デビューを果たす。同年のサンダンス映画祭コンペティション部門でプレミア上映され、監督賞を受賞。さらに第64回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門、第36回トロント国際映画祭でも上映され、その他数多くの映画賞にノミネート、高い評価を受けた。2作目『不都合な理想の夫婦』(19)は2020年サンダンス映画祭でプレミア上映、翌年の英国インディペンデント映画祭で最優秀英国インディペンデント映画賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞を含む6部門にノミネートされた。以降も監督、脚本家、プロデューサーとして幅広く活躍。リミテッドシリーズ「DEAD RINGERS」(22)の監督・製作を担当し、2023年エミー賞の優秀撮影賞などいくつかの賞にノミネートされた。

ショーン・ダーキン監督からの
メッセージ

僕が幼少時代を過ごした1980年末から1990年初頭のイギリスでは、テキサスのプロレスについて情報を得ることは、簡単なことではなかった。過去の試合のビデオテープを見つけることはできたが、それも容易ではない。せいぜい、「Pro Wrestling Illustrated」のような雑誌を読むぐらいだ。ある日、本屋にその雑誌の最新号が置いてあった。すでに数ヶ月前のものだったが、母が買ってくれた。僕は土曜日の夜に、中華料理屋で食事をしながらそれを読んだ。まだ記憶にはっきりと残っているが、最初のページを開いたらフォン・エリック家の死亡記事だった。僕は悲しくなった。彼らの試合を数回見たことがありファンだった。家族がとても気の毒になり、そのことがずっと僕の頭に残っていた。

『アイアンクロー』の脚本を書き始め、この一家の物語を映画に仕上げていくなかで、僕は自分自身とフォン・エリック家とのつながりを見つけなければならなかった。子供の頃、僕が彼らにこれほど惹かれたのは何故だろうか?他のエンターテイナーとなんら変わらないのに。彼らの華やかなプロレスは、観ていてとても楽しかった。今日のレスリングの基盤となったスタイルだ。しかし、それよりも僕を夢中にさせたのは、彼らが失ったものだった。

フォン・エリック家は、スポーツ界のケネディ家と呼ばれてきた。一家は想像を絶するほどの喪失を体験したが、それでも『アイアンクロー』は、悲しみや苦しみの物語ではない。むしろ、悲しみの欠如と、人が自分の苦しみから目を逸らした時に、何が起こり得るかを描いている。一家の物語はアメリカの歴史のごく小さな一部分に過ぎないが、長年アメリカの文化に害を及ぼしてきた極端に歪められた男らしさや、近年僕たちがやっと理解し始めた考え方を掘り起こしている。ファミリードラマであり、ゴシックホラーでもあり、スポーツ映画でもある本作は、アメリカの中心部で展開する真のギリシャ悲劇ともいえる。ケビンが家族の掟を破って呪いを打ち砕き、より賢く、強く、平穏な心を持って苦境を脱する、復活の物語なのだ。

栄光、喪失、そしてアメリカ特有の男らしさの釣り合いを模索する映画の伝統を受け継ぎ、僕は、『レイジング・ブル』と『ディア・ハンター』からひらめきを得た。『アイアンクロー』の中心には、家族、父子、兄弟がある。愛を発見し、ありのままの自分を受け入れること。男とはこうあるべき、といった狭い考え方との闘い。栄光への渇望と成功という幻想。世代間の衝突と、希望にみちた新しい将来を見出すために求められる視点。『アイアンクロー』は、これら全てをテーマとし、自己発見、友情、兄弟愛、アメリカ合衆国におけるプロレスの栄光の日々を描き出している。

劇中の家族写真と実際のフォン・エリック家の家族写真

COMMENTS

順不同・敬称略

加藤よしき

ライター

幻想の世界〈プロレス〉に命を懸けた伝説の一族!
しかし、その覚悟が一族を悲劇へ導く!
一族の哀しき努力の空回りは、
大事なことを教えてくれる。
苦労があまりに報われない時は、
転職しましょそうしましょ……

吉田豪

プロインタビュアー

いわゆるプロレス映画の中でも、
再現レベルは確実にトップクラス!
“エリック一家の呪い”が超常現象ではなく、
ある種の人災だということがよくわかります。

北村紗衣

英文学者

ザック・エフロン演じる
家族思いの真面目なケビンは、
感情を抑えるのが
「男らしい」よいことだと思っていたため、
自分の気持ちに素直になる機会を
もらえずに生きてきました。
そんなケビンが長い時間をかけて
最後にやっと自分のやさしさと悲しみに
向き合えるようになります。
この映画のどんな試合よりも大きな勝利です。

上福ゆき

タレント/プロレスラー

私プロレスラーだけど、
プロレスラーってやっぱ凄い!
ザックは勿論、
役者さん達の身体の作り込まれ様が半端なくて、
俳優業にも相当なリスペクトが生まれました。
とにかくザックが最高すぎて
ぶっちゃけそれだけで満足ですが、
誰かを倒すために、自分が1番になるために、
人生を狂わせながらも夢中に必死に鍛錬しても
やっぱり自分の最大の敵は自分だなと、
強く生きようと思えました。

プチ鹿島

時事芸人

中1のときに近未来の世界王者・
デビッドが日本で亡くなった
ショックは今も忘れない。
そのあとエリック一家に起きたことも。
プロレスファンからすると
この「実話」をよくぞ映画化してくれたと思う。
そしてちょっと前なら
悲話だけでも包めたであろうこの題材を、
家族を考える作品にしていた。
間違いなく、「今」の映画だ。

大仁田厚

プロレスラー

俺のプロレスラー人生初の大流血は、
フリッツ・フォン・エリックに浴びせられた
アイアンクローだった。
息子たちとも対戦した。
プロレスを知らない人も観てくれ。
父と息子の関係性と兄弟の絆に、
時に苦しく、時に胸が熱くなる。
ケビンのひと言「家族と一緒にいたい」が心に残る。
しかしハリー・レイス役、似てたなぁ(笑)

真壁刀義

新日本プロレス所属プロレスラー

父親の存在が強すぎる環境で、プレッシャーに負けず
栄光を手にするまで努力する主人公に
心から「頑張れ!」と言いたくなる。
兄弟の挫折と死を目の当たりにしても、
周りの期待を背負って奮起する姿。
プロレスラーなら誰もが知っている実話だが、
これまで勘違いしていた部分や
思い込みが払拭されたし、
改めて映像で見せられるとより心に迫るものがある。
俺も頑張る力が湧いてきた!

棚橋弘至

新日本プロレス所属プロレスラー/
新日本プロレスリング株式会社代表取締役社長

エリック一家は「悲劇の一族」
という漠然としたイメージ。
いつからか、映画のテーマを探したり、
何かを得ようとする癖が
付いてしまいましたが、今回は何だったと思います?
とにかく攻撃力が高い作品。
あなたは最後まで、受け身を取れますか?

ビビる大木

タレント

父親に何を思い、兄弟に何を思い、
故郷に何を思ったのか?
エリック一家とは一体? 偶然なのか? 呪いなのか?
最後に一枚の写真が出てくる。
それはケビン・フォン・エリックが
必殺技「アイアンクロー」で掴んだもの。

ISO

ライター

性規範なんてク○喰らえだと考えていても
「男たるもの泣くな 強くあれ」という
幼い頃から刷り込まれた
呪いの言葉からは簡単には逃れられない。
強くあるため、傷付いていることに
気付かないふりをしている人もたくさん見てきた。
この筋肉隆々な「呪われた一家」の歴史は、
これまで見過ごしてきた
自らの傷を私たちに再発見させ、
その痛みを少し肩代わりしてくれる。
ああ、もっと早くこの映画に会いたかった。

今成夢人

プロレスラー/映像作家

NWA世界ヘビー級王座。
プロレス最高峰のベルトを手にすれば、
成功すると思っていた。
しかし栄光と呪縛は表裏一体。
レスラーは何故、技を仕掛け、技を受け、
過酷なダメージを抱えながらリングに立つのか?
鍛え抜かれたザック・エフロンの肉体を通じて
観客はプロレスの魔力を
否が応でも追体験させられる。
“鉄の爪”に捕獲された観客たちは
スクリーンというリングの前で
タップアウトするしかないのだ!

水道橋博士

漫才師

プロレスは人生の縮図だ。
事実は映画より奇なり。
家族は映画より奇なり。
故に我々は映画から
人生と家族を学ばなければならない。
映画にはエンタメを超えた力がある。
だからこそ魂を鷲掴みにされるのだ。

武知海青

THE RAMPAGE

一言で言うと【衝撃】でした。
実話に基づいて作られた作品という事で、
実際にあった事なんだと思いながら見ていました。
純粋にプロレスラーのお話かと思っていましたが、
この映画には家族との関係や
人間関係、仕事、夢、兄弟関係と
想像していたよりも
多くの世界を見させていただきました。
どの世界も僕が知らない世界ばかりで、
まさに衝撃を受けた瞬間が何度もありました。
きっと見る皆様の胸にも響く事があると思います。
そして、僕には姉が2人おり、小さい頃から一緒にダンスをしていたので、
自分の人生と少し似ている部分もあり、
より一層入り込んで見入ってしまいました。

山﨑智之

音楽ライター

1966年、ザ・ビートルズ来日公演から約5ヶ月。
プロレスの日本武道館初進出のメインイベントは
ジャイアント馬場vs
フリッツ・フォン・エリックだった。
昭和の時代からファンのハートを鷲掴みにしてきた
両者の“鉄の爪”は
令和においてもグリップを緩めることがない。
「Now and Then」は
エリック一家に捧げられたエレジーだ。

藤波辰爾

プロレスラー

同じ時代をリングで共に生きたエリック兄弟達。
彼らとの闘いが昨日ことのように思い出された。
我々プロレスラーがリングに捧げる覚悟と
家族の愛を輝かしく、
そして切なく表現したこの映画に胸を打たれた。
エリック一家が辿った運命は過酷であったが、
決して彼らが遺した栄光はなくならない。

町山智浩

映画評論家

頑強な筋肉で優しい心を守るレスラーを
悲しくも美しく演じたザック・エフロンを
主演男優賞にノミネートしなかった
アカデミー賞なんてクソくらえ!